徹底分析シリーズ 非常時:病院と患者とあなたを守るために
被害を受けたとき,どう動くか!?
福家 伸夫
1
Nobuo FUKE
1
1帝京大学ちば総合医療センター 救急集中治療センター
pp.764-767
発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100154
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災害にもさまざまあるが,本論では,医療機関で予想される災害としてまず火災と地震を想定する*1。というのも,この二つが頻度的にも多く,かつ対応の緊急性も高く,それゆえに訓練もよく行われていて対策が周知しやすいからである。そして,その対応策は他の災害でも応用がきく,と考えているからである。
また,被災部署としては手術室を想定する。当然であるが,そこにいる患者は数が少ないながら,最も逃避能力が欠如した一群だからである。そして手術室の避難対策を考えることは,ICUや一般病棟の重症患者にとっても有益なことだからである。もし手術室で被災することに利点があるとすれば,手術部内にいる人数を正確に把握しやすいこと,そして患者が勝手に移動しない,つまり行方不明者が発生しにくいことである。逆に言うなら,病棟では発災時に病棟内不在の者や勝手に逃げ出す人がいて,その把握が著しく困難なのである。
以下本稿では,災害時についての対応を考える。
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