短期連載 医師が出遭うドメスティック・バイオレンス・3
DV被害の診断と被害者への支援
長谷川 京子
1
1みのり法律事務所
pp.1426-1430
発行日 2002年8月10日
Published Date 2002/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908838
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医療機関がDV被害者の支援に連なる理由
1.DVは重大な健康問題
DV防止法では,初めて,医師その他の医療関係者がDV被害者支援にかかわることになった.
アメリカでは,年間200万人以上の女性がDVの被害に遭い,救急治療室で外傷の治療を受ける女性のうち19〜30%,外来女性患者のうち14%が,DVの被害を受けているといわれている.DVによる医療費の総額は,年間18億ドルにも上ることから,「公衆衛生の問題でもある」と認識されている.日本ではこれまで,DVを「派手な夫婦喧嘩」くらいに捉えて見過ごしてきたので,このように医療分野からDVを捉えたデータはまだない.しかしDVの実態そのものは,日本とアメリカ,いや世界のさまざまな文化的歴史的違いを持つ国との間で驚くほど共通しているため,今後調査すればやはり膨大な数値が現れて,その深刻な実態が明らかになることだろう.日本でも,DVは国民の重大な健康問題として総合的な取り組みが待たれる問題である.
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