症例検討 モニタリングをめぐるトラブルとその対処法3
動脈カテーテル:橈骨動脈への動脈カテーテル挿入に失敗した。上腕動脈に動脈カテーテルを挿入してもよいか。
上腕動脈穿刺を回避しなければならないエビデンスはない/合併症への対策を万全にしたうえで行うなら可/動脈硬化の危険因子に配慮し,末梢循環モニターを万全に,同側の上腕動脈に穿刺
小竹 良文
1
,
黒田 昌孝
2
,
西川 光一
2
,
津崎 晃一
3
Yoshifumi KOTAKE
1
,
Masataka KURODA
2
,
Koichi NISHIKAWA
2
,
Koichi TSUZAKI
3
1東邦大学医学部 麻酔科学第一講座
2群馬大学大学院医学系研究科 麻酔神経科学
3慶應義塾大学医学部 麻酔学教室
pp.466-473
発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100107
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
通常の場合,橈骨動脈穿刺が不成功であった場合,反対側の橈骨動脈あるいは足背動脈でのカニュレーションへ変更することが多いと思われる。本稿の設定では,あえて上腕動脈穿刺の可否を論じようということであるから,何らかの理由でほかの部位への変更ができない状況である,としたうえでの議論であることをあらかじめご了承いただきたい。したがって,とりうる選択肢は,上腕動脈での穿刺を行うか,あるいは同側の尺骨動脈穿刺を試みるかのいずれかである。
また,本稿では後述するように,潜在的な合併症のリスクに対して,上腕動脈穿刺を正当化するに足る情報があるかどうか,を検証する。
結論から言ってしまうと,「科学的な根拠はないものの,過去の報告をみるかぎり,上腕動脈へのカニュレーションは安全な手技であり,あえて回避する必要がなさそうである」というのが筆者の意見である。
Copyright © 2008, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.