徹底分析シリーズ 脳:高次機能障害
心臓手術における術後高次脳機能障害とその予防
前川 謙悟
1
,
後藤 倶子
2
Kengo MAEKAWA
1
,
Tomoko GOTO
2
1熊本中央病院 麻酔科
2熊本中央病院 健診センター
pp.562-567
発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100103
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心臓手術は,手術手技の進化ならびに,人工心肺や麻酔管理の進歩により,飛躍的に手術成績を向上させてきた。しかし,心臓手術後の脳障害は減少傾向になく,人工心肺を使うことから,欧米では“pumphead”と呼ばれ,重篤な合併症と認識されている。
高齢社会を迎え,術後の脳卒中や術後高次脳機能障害postoperative cognitive dysfunction(POCD),譫妄が増加している。その発生頻度は,脳卒中で約3%1),POCDでは退院時には30~80%と高率で,6か月~1年後では20~40%に減少する2)。譫妄は,術後10~28%に発生し,非心臓手術の発生率9%に比べると高い。手術は上手く施行されても,脳障害を合併すると日常生活に支障をきたし,生活の質を低下させる。
本稿では,心臓手術後のPOCDの原因と予防法となる周術期管理について概説する。
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