連載 初歩からのファイバースコープガイド下気管挿管:第10回
ファイバー挿管で困ったら…② ファイバースコープを気管に挿入するのが困難なとき
青山 和義
1
,
竹中 伊知郎
1
1新日鐵八幡記念病院 麻酔科
pp.152-161
発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100032
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ファイバー挿管では,困った時にすぐに原因がわからないことが多く,それはファイバー挿管技術の修得をさらに困難なものにしています。しかし,困難に遭遇したら,問題点とその原因を探り,対策を見つけなければなりません。
ファイバー挿管では,「スコープで気道を見て」,「見ている部位を判断して」,「スコープを先へと進める」の繰り返しにより,スコープを気管へと誘導していきます。そこでファイバースコープを気管に挿入するまでの間で,実際に困る場面を考えてみると,次の四つの問題点に帰着します(図1)。
1. スコープの目の前が見えない
2. 目の前は見えても,気道のどこを見ているのか判断できない
3. 気道の部位を判断できるが,スコープ進路の先が閉塞して見えない(進めない)
4. スコープが思ったように進まない
前回1)はこれらの問題点の解決の近道,すなわち“成功のための七つの鉄則”についてまとめました。これらの鉄則は,困難の具体的な原因がわからなかったとしても,多くの場面で解決に導いてくれることと思います。
今回は,これらの問題点を引き起こす原因・要因,対策について,もう少し詳しく解説します(表1~4)。このアプローチは,問題点(=実際に困る場面)と原因が一対一で対応しない(同じ原因・要因により違った問題点が引き起こされる)ため少し複雑に感じるところもありますが,実際にうまくいかない場面において,具体的な原因と対策を知る手がかりになると思います。ファイバー挿管を行ったときにもし困難に遭遇したら,ぜひこれから解説する項目をチェックしてください。
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