特集1 救急医療のリベラルアーツ 各国の社会事情に向き合う救急医
3.院外に行列ができる国:オーストラリアの救急部「過密状態」への対応策
安田 晃一
1,2
Koichi YASUDA
1,2
1Emergency Department, Gold Coast University Hospital
2Robina Hospital
pp.794-799
発行日 2025年3月25日
Published Date 2025/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.275835970020060794
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突然だが,皆さんは列に並ぶのはお好きだろうか? 日本では飲食店,遊園地,プールなど,日常さまざまな場所で行列や混雑を見かける。美味しい物や楽しいことを体験するには,多少の待ち時間が必要になることは納得できる。
オーストラリアでは,上記のような場所で混雑や行列を見かけることは少ない。ところが,都市部にある病院の救急部では,1年を通して昼夜を問わず,多くの患者で待合室はいっぱいとなる。トリアージの窓口に並ぶ列も長くなりがちで,救急車搬入口には車が何台も並び,運ばれて来た患者は救急部の廊下でストレッチャーのまま,次にベッドが空くのを待っている。
日本ではあまり目にすることのない光景が,ここオーストラリアでは当たり前になっている。なぜそうなのか,その理由と,これらがもたらす影響および,その対応策について考察する。

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