寄書
生体の科学の実験に対する心構え—或る生物物理学者の意見
大西 勁
1,2
1名古屋大学理学部物理学教室
2名古屋大学医学部第二生理学教室
pp.250-254
発行日 1961年10月15日
Published Date 1961/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906205
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表題の様なテーマについて何か書け,と言われて大変困つた。その様な心構えが私にある筈はないし,第一,その心構えについて,まつ先に教わりたいのは,こちらの方だからである。どうも,昨夏志賀高原の生物物理若手夏の学校で気焔を上げたのが編集者のお耳に入つたらしく,今更後悔しても後の祭である。それで,この機会に,今迄筋肉や筋肉蛋白質の物理,化学的研究を通じて,自分なりに考え,悩み,暗中模索しつつ体得して来た,「実験」と言うものに対する私のイメージをまとめて見る事にした。高尚な御説教ではない。もつともつと泥くさい,例えば,実験装置を設計するにはどうしたらよいか,とか,実験方法に自信を失つた時には,どうしたら良かろうか等と言つた問題について考えて見たいと思う。
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