綜説
呼吸中枢の自動能
福原 武
1
1岡大医学部第二生理学教室
pp.170-180
発行日 1959年8月15日
Published Date 1959/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906082
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安静時の呼吸運動は主として横隔膜,肋間筋など横紋筋の律動的収縮によつてひき起される。このような呼吸筋に運動衝撃を送り出す根源的な個所,いいかえると呼吸中枢がどこに存在するかは呼吸生理学上重要な問題である。このような中枢の所在に関しては,私どもも研究12)13)14)を行い,その結果を報告し,さらに二篇の総説15)19)において従来の研究を批判検討した。ごくかいつまんで私どもの実験結果を述べれば次のようである。
哺乳類(イヌ,ネコ,ウサギ)においては,脳幹の横断実験12)及び局所破壊実験13)によつて私どもは正常呼吸中枢が脳幹の聴条の高さで両側の外網様体中に局在し,その遠心路が延髄の外網様体をとおり,脊髄の網様体に達することを示し,さらに自動能において前者に劣る第二中枢(gasping center)が延髄に存在することを示した。ついで単極微小電極を用いて正常呼吸中枢及びその遠心路から活動電位群を誘導描記した14)。これによると吸息及び呼息ノイロンは中枢内に混在している。
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