今月の主題 生体防御と感染症
貪食細胞の機能
貪食能
大田 雅嗣
1
,
斎藤 政樹
1
1自治医科大学血液学研究施設・造血発生
pp.1934-1935
発行日 1985年11月10日
Published Date 1985/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219998
- 有料閲覧
- 文献概要
Metchnikoffが生体防御機構としての食作用に着目して以来,免疫系での貪食細胞の機能について研究が進められてきた.多核白血球(polymorphonuclear leukocyte)やマクロファージ(macrophage)は種々の感染症に対する生体防御という重要な働きを担っている.これらの細胞の主要機能は,病原菌など生体内に侵入した異物を,一連の複雑な過程により殺菌・消化処理することにある.この過程は表に示すように,大きくわけて7つの段階から成る.まず生体内に細菌などの異物が侵入すると,侵入部位へ貪食細胞が動員されるが(migration),この貪食細胞の運動方向は,走化性因子(chemotactic factor)の濃度勾配によって決定される(走化性,chemotaxis).貪食細胞が異物に到達すると,主としてオプソニンを介した異物粒子の認識が行われ(recognition),細胞表面に異物粒子が固定された後,細胞内に取り込まれ(ingestion),貪食空胞(phagosome)が形成される.ここでは解糖系の代謝変化が起こり,食作用に必要なエネルギーが供給される.貪食空胞はリソゾーム(lysosome)と融合してファゴリソゾーム(phagolysosome)となり,リソゾームの内容物は空胞内に放出される(脱顆粒).
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.