研究室から
腦の研究と白雪姫
万年 甫
1
1東京大学脳研究所
pp.48
発行日 1958年2月15日
Published Date 1958/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905990
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最近では子供ならずともウオルト・デイズニーの「白雪姫」や「バンビ」を知らぬ人はなかろう。この「白雪姫」「バンビ」と脳の研究とをならべると,一体何の組合せかと首をかしげる人も少くあるまい。日本ではこれらを漫画映画と称しているが,フランスでは"dessinanimé"という。
すなわち生きた画の意であり,むしろこの方がよく体を現わしているように思う。1時間位の映写時間のものでも,そのぼう大な数の下絵を描くには数カ月,数年を要することもあることもあるときく,製作に手間のかかること到底劇映画の比ではない。動きが早く一見派手に見えるところは絵の枚数は少くてすみ,ゆつたりとまどるつこくすら感ぜられる場面は,かえつて沢山の絵を要する苦心と辛棒のこらしどころたることはすこしく考えれば分ることである。我々が小学校の頃読本のヘリに馬のはしる姿などを描いて本をぱらぱらめくり,その動くのを見て大いによろこんだのを思いだす。誰でも一ぺんや二へんは経験があろう。
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