Japanese
English
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腦の解剖學(第6講)—中腦
Anatomy of the Brain:IV. Mesencephalon
小川 鼎三
1
Ogawa Teizo
1
1東京大學醫學部解剖學
1Anatomy, Medical Dep't, Tokyo Univ.
pp.350-356
発行日 1950年11月1日
Published Date 1950/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200154
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1.上丘と下丘
中腦の背面に上丘Colliculus rostralisおよび下丘Col-lieulus caudslisというそれぞれ1對の圓い高まりがある。合せて四丘體Corpora quadrigeminaとよぶ。これは以前には四疊體と通稱されたのである。纎維結合からして上丘は視覺に,下丘は聴覺に密接な關係をもつことがわかる。鳥類以下の諸動物では上丘に相當するもののみがあつて,下丘に當るものは少くとも表面に高まりを生じていない。すなわち二丘體Corpora bigeminaである。上丘は視蓋Tectum opticumとも稱せられる。綱膜からつゞく視神經の纎維が一部こゝに達している。
上丘の内部では表面に平行した數ケの層が區別される。表面に平行した細胞層の形成は上丘の他では大腦皮質や小腦皮質でみられるのであつて,人腦では上丘は甚だ貧弱であるが,本性上こゝは大腦皮質,小腦皮質と同列におかれるべきものである。Brausの「人體解剖學」の第3巻中樞神經系を書いたElzeはこの三者をdrei Integrutionsorteと稱している。實際,上丘は人間ではごく小さいが,鳥類以下の諸動物ではこの部分に相當するいわゆる視蓋が甚だ大きい。そして下等のものでは大腦皮質はほとんど存在しないのであるから,哺乳類で大腦皮質が著しく發達するにつれて,視蓋の繁榮がそちらにうつつて,これは小さくなつて四丘體の上方の1對の高まりになつたということができる。
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