Japanese
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腦の解剖學(第5講)—小腦
Anatomy of the Brain.:(V) Cerebellum
小川 鼎三
pp.291-297
発行日 1950年9月1日
Published Date 1950/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200142
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第4脳室の天井の前方部を占める小脳は體の筋肉運動を整調することを第1の使命とするのであつて,内耳からの平衡神經その他全身の横紋筋や骨膜などからの深部感覺の道がこゝに達している。比較解剖學的にみても,運動が細かくて敏捷な動物では概して小脳がよく發達している。スポーツマンなどの場合に俗に「運動神經がよく發達している」というのは私は小脳のはたらきがよく行われるというわけでないかと考える。
動物界を通じてみると,硬骨魚類や鳥類,哺乳類では小脳が大きくて,カエル・ガマ・イモリのような兩棲?は運動が緩慢であるだけ,その小脳はごく貧弱である。洞窟の中にすむ盲のオルムOlm (Proteus anguineus)とよばれる有尾兩棲類には小脳が缺けているとさえ云われる。人間の小脳は諸動物のそれと比べてみて,甚だよく發達しているものに屬する。曲藝のできる動物,例えばアシカや象や猿などでは何れも小脳の發達がよいことは小脳のはたらきが那邊にあるかを示すものとおもう。
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