Japanese
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第7回 綜合医学賞入選論文
末梢循環の動搖性に関する研究
Studies on the spontaneous fluctuations of the peripheral circulation
上田 五雨
1
Gou Ueda
1
1東京大学医学部生理学教室
1Department of Physiology, Tokyo University School of Medicine
pp.321-333
発行日 1957年12月15日
Published Date 1957/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905978
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第一報 正常人のプレチスモグラムについて 末梢循環の動態をしらべる方法として,プレチスモグラフは古くから用いられているが,その割には完全な記録法が発達していなかつた。機械的方法によるものは感度が悪くて正常時の曲線の採取には不適当であり,電気的又は光学的方法はやや煩雑の嫌いがある。そのため,正常時曲線に関する知見は極めて乏しかつた。正常人の身体末梢部,即ち手指,足趾,耳等から採取した自然性容積変動曲線については,心臓性,呼吸性変動の他に,Burch等1)の云うα波,β波,γ波の存在だけが知られているにすぎない。又後三者の発生機構に関しては,神経系及び血圧との関連が推測されるに止まり,その実証を欠き,特にα波については生理学的実在性も断言できてはいなかつた。所が,最近吾々のグループが行つた従来と異なる方法によると,2)3)極めて簡単に,而もより高感度且つ歪みなしに,此等の波が記録されることが分つた。その上,曲線を分析した結果,これ迄注目されていなかつた幾多の波の存在することも確認し得た。尚,同時に行つた種々の実験操作により,この現象の生理学的機構の解明に役立つ所見も2,3得られた。ここには先ず,正常時のプレチスモグラムについて記述する。
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