連載 病とともに紡ぐ援助論・2
「伝えること,その波紋」/「搖るがない対象への想い」
ひらす けい
pp.426-429
発行日 2002年5月10日
Published Date 2002/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902620
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病名と病状の告知を受けたとき,私は自分のことを誰にどのように伝えようかと考えた。病巣を外科的に切除し,100%回復できる状態であればそんなに考え込む必要はなかったが,進行の程度がステージIVと楽観的なものではなく,その事実を他者に伝えることが,必要以上の心理的負担を与えることになると思われたからである。日本でも病名告知が以前より進んでいるはずだが,それでもまず家族に伝えるか,家族同席などの配慮をするのが一般的である。私はほぼ業界内の人間だったので,結果が出るやいなや真先に単独で伝えられた。そのうえで,医師からの詳しい情報を,私から家族に判りやすく説明するという形をとることになった。幸い夫は,冷静に受け止めてくれた。
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