論述
遺傳學への確率論の應用
崎野 滋樹
1,2
1文部省統計數理研究所
2東京大學醫學部小兒科學教室
pp.48-51
発行日 1951年10月15日
Published Date 1951/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905606
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メンデルの法則
メンデルの法則はゲン或は因子として知られている遺傳因子(atoms of heredity)の存在を假定するのであるが,以下に於て極めてsimpleな場合について述べることにしよう。子孫は對のゲンを持つた兩親から各々一コづつ受けることになる。例えば優性因子の對をAA,劣性因子の對をaaで現わすとき,第一代の因子構成はAaとなる。この因子構成が遺傳學では雑種として知られている。このような考えから交配による子孫の色々な因子構成を持つ確率を計算することが出來る。
今兩親の因子構成を記號X1,X2,子孫の因子構成をYで現わすとすれば
(ⅰ)X1=AA,X2=AA
P{Y=AA/X7=AA,X2=AA}=1
P{Y= A /X1=AA,X2=AA}=0
P{Y=aa/X1=AA,X2=AA}=0
(ⅱ)X1=Aa,X2=AA
P{Y=AA/X1=Aa,X2=AA}=1/2
P{Y=Aa/X1=Aa,X2=AA}=1/2
P{Y=aa/X1=Aa,X2=AA}=0
これはX1=AA,X2=Aaとしても全く同じである。
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