論述
呼吸中樞の活動機序について
高木 健太郞
1
1新潟大學醫學部生理學教室
pp.52-58
発行日 1951年10月15日
Published Date 1951/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905607
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まえがき
呼吸が呼息と吸息とが交互にくりかえされることによつて行われていることは周知の事實である。この交互性,或は交代性(periodicity)が維持される機序に關する假説を次の3通に別けることが出來る。その第一は末梢説とでも名付くべきもので,中樞自體には交代性はなくて,末梢からの週期的變動によつて中樞が變調されるという説たとえば呼吸運動に伴う血液ガス濃度の變動がある位相のずれを以て中樞に作用する(Winterstein),或は呼吸運動に關與する筋,又は肺からの求心性衝撃を交代性の原因とする説である。この説は遊離した金魚の腦幹から呼吸のリズムに一致した働作流が得られるというAdrianの實驗2),又Heymans8)の遊離頭部灌流實驗から,完全に否定されねばならなくなつた。第二に呼吸中樞それ自身に交代性ありとするもので,ちようどそれは心臓に於ける靜脈結節を連想させる。即ち腦幹のある特定の部位,たとえば閂(obex),(Pitts,Woldring20)),或は聽條(Striae acousticae)の部分(福原12)),の網樣組織(formatio reticularis)から週期性の衝撃群が發射されるとするものである。
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