報告
ドナヂオ反應保護膠質のpH系列に於ける態度
齋藤 紀一
1,2
1東京醫科齒科大學生化學教室
2河北病院
pp.28-31
発行日 1951年8月15日
Published Date 1951/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905599
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
ドナヂオ反應の本態論については大體その反應機序に關する研究と夫を現わす物質の検討との2點にかゝつている。勿論その反應の機序については陽性荷電をもつメチレン青(以下M.T.B.と略す)にモリブデン酸アンモン(以下Mo.A.と略す)の陰性イオンが衝突して,M.T.B.が荷電を失つて落ちるのに對し,尿中の或物質が夫に保護膠質作用を現わすものであると云う考え方は略々確かであるらしい。この保護物質に就ては從來種々の物質が考えられている。吉川等はプロテオーゼであろうと云い或は燐酸鹽其の他の物質が影響を與えるとも云われている。しかし山添氏はオキシプロテイン酸の如きものを想定している。
これらの研究について從來は尿の透折内外液について化學的に性状を調べる方法がとられているが著者等は方向を變え此の反應の本態を物理化學的見地から考察せんとして検尿をpH系列に展開した際に如何なる變化が現われるかを觀察してこれによつて反應物質の性質を推定せんとしてこの研究を初めた。
Copyright © 1951, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.