報告
ツベルクリン反應と體質
福田 篤郞
1
,
八村 正夫
1
1千葉醫科大學
pp.72-74
発行日 1951年10月15日
Published Date 1951/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905611
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
結核症の發症進展が體質的因子に支配されることは周知の事實であり,これが把握は結核對策上の重要問題である。然し現在の所この體質的因子を客觀的に追求し得たのはツ反應の個體差の統計的觀察のみであろう。即ち結核菌侵入後の結核アレルギーの消長の一部を代表するものとしてのツ・アレルギーに現われる個體的,年齡的,並びに性的差異又それが遺傳的にかなり制約されるとの事實が特にBCG接種後のツ陽轉に於て觀察された。(大里・綜説 4)染谷・綜説7))。從つてこのツ・アレルギーが如何なる素因によつて支配されるか,それが何等か他の身體的屬性と密なる關連を有するかは重大關心事となるのであるが,これに關し今日まで何等手掛が得られていない樣である。ツ反應と皮膚紋劃反射との關係を調べた大里門下の研究も遂に相關を證明せずに終り,唯だ木田2)はBCGによるツ難陽轉兒童は他の腸チフスワクチン等の注射による抗體産生の鈍いことを見ている。然らば抗體産生地と目される網状内皮系形質細胞或いは近時再び着目されるに至つた淋巴系に素因的差が見られるものかそれを支配する多種の因子,就中内分泌系の反應性の個體差によるか,に關しては何等説明を見ていない。
Copyright © 1951, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.