原著
硫酸亞鉛試験による妊婦血清中γ—グロブリンの消長について
篠崎 吉次
1
,
佐藤 定吉
1
,
頭本 藤雄
1
,
紅林 澄子
1
1川崎市中央保健所
pp.18-20
発行日 1952年1月10日
Published Date 1952/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200570
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
妊娠時に血清蛋白質各分劃がいかなる變動をなすかについて,最近電氣泳働法によつて研究されつゝある。本年度の第3回産婦人科學會總會に於ても鍋倉1),金子等によつで電氣泳動分析の結果が報告されたが,その成績によると正常妊婦ではalbuminの滅少及びa.β—globulinの増加が見られるが,γ—globulinは殆ど變動しないといわれる。又福井2)も同様の成績を發表し,特にγ—グ値(γ—globulinを略す)は17%前後で妊娠月數による有意の差を認めないと云う。最近γ—グ値が血清中免疫抗體を表現することが電氣動泳法によつて明らかにされ。その變動は生體の防衛機構の維持に大きな意義を有すると思われる。そこで我々は妊娠中の血清γ—グ値の消長を調べる爲に,肝臓機能試験法中のKunkel3)硫酸惡鉛試驗が血清γ—グ値を概測せしめることを利用して,正常妊娠,妊婦結核,妊婦梅毒についてγ—グ値の變化を追求してみたのでその大要をこゝに報告したいと思う。
Copyright © 1952, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.