論述
濾紙分配クロマトグラフ法によるアミノ酸定性分析の生物材料への應用—ネズミ肝の實驗を中心として
柴谷 篤弘
1
1ミノフアーゲン製藥本舖研究所
pp.177-181
発行日 1950年1月15日
Published Date 1950/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905484
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1.まえがき
ロシ分配クロマトグラフによるアミノ酸その他微量分析法については,最近この國でもいく人かの開拓的な追試者によつてやつぎばやに紹介された(1-8)。その結果醫學や生物學の種々の領域にこの技術が有效に應用できることがひろく知られるようになり,この方面にたいする關心は異常に高まりつつある。私はこれまで主としてアミノ酸の二次元ロシクロマトグラフ法による分析をてがけてきたが,非常に多くのかたがたからその實施法について相談をうけた。現在ことに問題となる部分は,分配クロマトグラフの方法そのものよりも,むしろ生物材料から出発して,いざクロマトグラフにかけようというところまでの,材料の精製法につきまとう種々の困難と不明瞭さの解決にあるとおもわれる。それでこゝでは,わたしが主力をそゝいだラツテ肝のアミノ酸二次元クロマトグラフ分析を中心として,この方法がもつ有效さと,簡便さと,その方法論的限界とがどの程度のものかを説明しようとおもう。わたしの經験もまだあさくかつかたよつているので,こゝにのべることを全部そのまゝにうけとつていただこうとはおもわないが,この技術に興味をひかれている研究者にとつて,いくぶんかの見とおしをあたえることができれば,わたしの目的は達せられたといえよう。
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