醫學のあゆみ・16
ペーパークロマトグラフイー—濾紙による微量分析
杉 靖三郞
pp.49
発行日 1953年1月15日
Published Date 1953/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907230
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この頃,試驗室などで,大型の試驗管様のガラス瓶のなかに,細長い(巾2cm,長さ20cmくらい)テープ状の濾紙をぶら下げてあるのを見かける。これが藥品や微量な化學成分を,分析してしらべる最も簡單な,しかも正確な方法である“ペーパー・クロマトグラフイー”と稱する試驗裝置である。この方法を考え出したイギリスのマルチン(Martin )とミング兩氏は,つい最近のノーベル化學賞を授與されたのである。
この方法は,上に述べたような細長い濾紙の下端からはなれたところに,妻楊子のような細い棒の頭で僅かの試料をつけ,下端をブタノール(または石炭酸)のような液(媒溶)に浸して,吸取紙のような調子に液をしみさせて昇らせる。夕方にでもこの濾紙を仕かけておけば,翌朝には必要な分析の結果が出るというわけである。
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