特集 神経化学懇話会
主題I γ—アミノ酪酸の生化学
指定討論
脳組織でのアミノ酸の分離定量法
(3)イオン交換クロマトグラフィーによるアミノ酸の分析
大月 三郞
1
,
山本 泰久
2
1岡大神経精神医学教室
2岡大陣内外科教室
pp.520-522
発行日 1960年4月1日
Published Date 1960/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431906368
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アミノ酸の分析定量法のうちで現在最も正確とされているのは,Moore & Steinのイオン交換クロマトグラフィーである。彼らはイオン交換樹脂Dowex 50-X8の2本のカラム(酸性・中性アミノ酸分析用ならびに塩基性アミノ酸分析用)を用いて,全アミノ酸を分析する方法1)(1952),Dowex 50-X4の150cmカラムを用いる方法2)(1954),最近ではAmberlite IR-120の2本のカラムを用いる方法3)4)(1958)を相継いで発表している。これらの方法はすべて,強酸性イオン交換樹脂のNa型のカラムに被検試料を添加し,以後所定のpHおよびイオン強度をもつ緩衝液を展開液として溶出分析を行うものである。これらの方法のうち,1952年の方法は,蛋白質の完全加水分解物のようなアミノ酸のみの混液を分析するのに適しており,1954年なろびに1958年の方法は,アミノ酸のみならずその関連物質や種々でのペプチドを分離出来,体液や各組織中の遊離アミノ酸および関連物質の分離定量に適している。アミノ酸を単離する目的には,展開液として塩酸5)(1950)あるいはギ酸アンモニウムおよび酢酸緩衝液6)(1952)などを用いると,溶出液中からアミノ酸以外の溶質を簡単に揮発除去しうるために便利であるが,少量の試料の分析定最には,Na型樹脂を用いる方が分離がよい。
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