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特集 細胞測定法マニュアル
核酸・蛋白質定量法
DNA定量
プロピジウム・アイオダイド法によるDNA定量
Determination of DNA content using propidium iodide
鈴木 孝仁
1
Takahito Suzuki
1
1奈良女子大学理学部生物学科
pp.407-409
発行日 1988年10月15日
Published Date 1988/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905172
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核酸に特異的結合するフェナントルイジン系色素のうちエチジウム・ブロミド(EB)は,電気泳動分離したDNAバンドを染色したり,閉環状および開環状のDNAを塩化セシウム浮遊密度勾配遠心で分ける際に,二塩基間挿入(intercalation)を起こしたりする目的で広く使われている。同じフェナントルイジン系色素であるプロピジウム・アイオダイド(PI)もEBによく似た性質をもち,intercalationを起こしてDNAと結合する1)。図1に両者の構造式を示した。両者とも300nm付近の紫外線を吸収し,または核酸に吸収された260nmの紫外線がPIまたはEBにエネルギー転移されたりすると,590nmの赤い螢光を発する。さらに500nmの緑色励起によってもこの赤い螢光を放射させることができるため,致死効果の高い紫外線を使いたくない条件下でDNAを検出するのに適している。たとえば生きた状態で細胞やオルガネラのDNA領域を検出するのに試みられた2)。しかし,両者ともRNAに親和性があるため,RNA含量の高い酵母菌のような試料では,RNase処理などであらかじめRNAを除去しておく必要がある。一方,DNAに対する結合には塩基特異性がないため定量という点では優れている。
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