Japanese
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特集 細胞測定法マニュアル
核酸・蛋白質定量法
DNA定量
フォイルゲン染色
Feulgen stain
福田 優
1
,
杉原 洋行
1
,
中西 和夫
1
,
三好 憲雄
1
Masaru Fukuda
1
,
Hiroyuki Sugihara
1
,
Kazuo Nakanishi
1
,
Norio Miyoshi
1
1福井医科大学病理学講座
pp.403-406
発行日 1988年10月15日
Published Date 1988/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905171
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Robert Feulgen(1924)1)によりDNAの特異的染色法として提唱されたFeulgen反応は,その後40年間にわたる論争を経て,今日もっとも確実なDNAの定量的染色法とみなされるに至っている2)。
しかし,最近Feulgen反応の動態論的研究によって,DNAの塩酸加水分解は塩酸の濃度と温度はもちろんのこと,試料の固定条件,核蛋白との結合状態を含めたDNAの存在様式,DNA損傷の有無などによって大きく変化することが知られるようになった。とくに最近好んで用いられている高濃度(2〜5N)低温(20〜30℃)での塩酸加水分解条件ではこの傾向が著明で,本来同じDNA量を持つはずの異なった細胞種間で加水分解カーブが大きく異なり,同じ値を示す共通の加水分解時間,つまりDNA定量のための至適条件を見出すことができない。これに対してRobert Feulgenが提唱した1N塩酸60℃の加水分解条件では,加水分解カーブの下降部は異なる細胞種で違いはあるものの,ピーク時間は一致し,ピーク値も予想されるDNA量とよく比例する。すなわち,高濃度低温加水分解はDNAの質的変化や損傷を知るのに適し,DNA定量の目的には1N60℃の古典的方法が優れている。本章ではFeulgen反応の原理と定量的染色法を述べる。Feulgen反応を利用したDNAの質的変化の解析法については文献を参照されたい3,4)。
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