Japanese
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特集 遺伝子疾患解析の発展
サラセミア
Thalassemia
服巻 保幸
1
Yasuyuki Fukumaki
1
1九州大学遺伝情報実験施設
pp.18-26
発行日 1988年2月15日
Published Date 1988/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905092
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サラセミアは地中海沿岸地域,アフリカ,インド,中国,そして東南アジアに広くみられる遺伝性貧血症であり,多発地域における保因者の率は10%以上にものぼり,もっとも頻度の高い単一遺伝子疾患である。その病因は,ヘモグロビンを構成する,α様グロビン鎖(ξ鎖,α鎖)もしくは,β様グロビン鎖(ε鎖,γ鎖,δ鎖,β鎖)のうち,特定のグロビン鎖の合成障害であり,障害をきたすグロビン鎖ごとに,α,β,δ,γ,δβ,γδβサラセミアが知られている。本疾患の解析にはDNA組換え技術がいち早く導入され,これまでに多くの知見が集積されており,サラセミアは現在もっとも分子レベルでの解析が進んだ単一遺伝子疾患ということができる。本稿では分子病理を主体に知見をまとめるが紙面の都合上,頻度が高いβサラセミアに的をしぼることにする。
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