話題
EMBOワークショップ「アクチンとミオシンの構造と両者間の相互作用」
杉 晴夫
1
Haruo Sugi
1
1帝京大学医学部生理学教室
pp.334-337
発行日 1983年8月15日
Published Date 1983/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904539
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本年3月21日より25日の5日間,EMBO(European Molecular Biology Organization)のワークショップ「アクチンとミオシンの構造と両者間の相互作用」がオーストリアの山奥の村落Alpbachでおこなわれた。オーガナイザーはH. E. Huxley(Cambridge大)とK. C. Holmes(Max-Planck研)の両名である。このワークショップはすでに数回,同じオーガナイザーにより同じ場所で3年おきに開催されている。Alpbachは西ドイツ国境に近くMünchenから車で1時間半ほどのところに位置しており,冬期スキー客のための立派なホテルがある。参加者の宿泊所となったホテルの前の教会には物理学者Schrödingerの墓がある。約100名の参加者は筋フィラメントの構造を研究しているほぼすべてのX線回折学者と主要な電子顕微鏡学者をふくんでおり,ワークショップの重点は明らかに筋フィラメントとクロスブリッジ結合の構造の論議におかれていた。Cambridge大学のいわゆる構造学派が現在の分子生物学あるいは分子生理学に多大な貢献をなしたことはよく知られている。筋肉を構成する諸要素の微細構造の追求が収縮の分子的機構の解明へのもっとも直接的なアプローチであるというのが構造学派の信念であろう。
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