話題
国際シンポジウム「中枢神経系レセプター:分子薬理学から行動まで」
栗山 欣弥
1
Kinya Kuriyama
1
1京都府立医科大学薬理学教室
pp.497-500
発行日 1982年12月15日
Published Date 1982/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903580
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神経伝達物質に対応する受容体(レセプター)の研究は,最近特に活発となった研究分野の1つである。電気生理学的観点からのシナプス・レセプターの研究の歴史は比較的古いが,これを物質としてとらえ,更にこれが神経細胞の反応,すなわち,シナプス伝達機構にどの様につながって行くのかを分子レベルで解析しようというのが,最近のレセプターの神経化学分野における研究の趨勢となって来た様に思われる。
これらの研究の基盤として,その研究の進展に大きく貢献したのは,特定のレセプターを標識し得る諸種のリガンドの開発と,そのシナプス・レセプターへのいわゆる特異的結合の測定法の進歩である。このようなレセプター結合法を利用して,シナプス・レセプターの数や親和性の測定,特異的拮抗薬の検討,更にオートラジオグラフィ法の適用によるシナプス・レセプターの脳内分布の解析などが行なわれて来た。現在では更に,これらのリガンドによる標識を指標としながらレセプターをシナプス膜より可溶し,純化精製すること,これらの過程を通してレセプター結合の調節機構又は調節因子を明らかにすること,レセプター結合からシナプス伝達に至る共役因子とその共役機構を明らかにすること,これらの各知見を基盤として,人工膜上でレセプター機構の再構成を計ること,などの研究が展開される様になって来た。
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