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TSHレセプターの分子機構
中井 利昭
1
1筑波大学臨床病理
キーワード:
TSHレセプター
,
バセドウ病
,
甲状腺機能低下症
Keyword:
TSHレセプター
,
バセドウ病
,
甲状腺機能低下症
pp.471
発行日 1990年4月15日
Published Date 1990/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900115
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1956年Adamsらは,バセドウ病患者血中に甲状腺刺激物質が存在することを発見し,この物質はlong acting thyroid stimulator (LATS)と命名された.この甲状腺刺激物質は検索法の違いによりHTS, HTACS, TSAbなどいろいろ名づけられてきた.
1974年Smithらは,バセドウ病IgGが標識TSHとヒト甲状腺膜分画との結合を阻害することを発見した.その後,このIgGがTSHレセプターに対する自己抗体であることが示され,バセドウ病はこの抗TSHレセプター抗体の甲状腺刺激効果によって発症することが明らかとなった.さらに最近になって,特発性甲状腺機能低下症が同じく抗TSHレセプター抗体によってひき起こされることがわかってきた.同じ自己抗体が一方でバセドウ病をきたし,他方で特発性甲状腺機能低下症をひき起こすという抗TSHレセプター抗体の多様性の病態生理を解明することは,診断.治療の向上に不可欠であり,多くの研究者がTSHレセプターの分子機構をテーマとして取り組んでいる.以下その一端を紹介する.
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