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I.はじめに
摂食を制御する機構が脳に存在するらしいことは,古くから臨床医学の分野で知られていた。性器発育不全と肥満を主徴とするFrölich症候群や,るいそうを主微とする神経性食思不振症において,脳視床下部の破壊所見が認められたことが基礎となっている。また,摂食の中枢制御に関する実験的根拠は以下のような経過でもたらされている。1940年HeatheringtonとRanson8)はラットの両側視床下部腹内側核(VMH)を通電破壊すると実際に肥満が誘発されることを観察したが,これはBrobeck3)により摂食に伴う飽満感の欠如による過食が原因であると説明された。一方,ラットの外側視床下部(LH)を破壊すると逆に無食になり,放置すると餓死に陥ることも明らかとなった1)。このように,視床下部のVMHとLHが,摂食行動に関して相反する機能を果たしていることが示唆されたが,そのメカニズムの解明は,Mayerの「糖定常説(glucostatic theory)」16,17)-VMHとLHに存在するニューロン活動が血中ブドー糖濃度の変化により逆方向に制御される—がきっかけとなっている。ゴールドチオグルコース(金硫化ブドー糖,以下GTGと略す)を投与したマウスに誘発される肥満とVMH破壊所見2,15)が,他の金硫化化合物では再現されなかったこともこの説の一つの根拠となった18)。
Neurons of the satiety center, glucoreceptor neurons, are assumed to have specific receptor to glucose. Discharge frequency of these neurons is augmented in a dose-response manner by glucoseapplied electroosmotically, while it is suppressed by free fatty acid. Findings on the specificity of the glucoreceptor to the ventromedial hypothalamus is briefly presented. Neurons of the feeding center, glucosensitive neurons, are assumed to have specific receptor to insulin, which together with free fatty acid augment firing of the neurons.
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