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はじめに
γ-アミノ酪酸(GABA)は無脊椎動物の神経系のみならず,哺乳動物の中枢神経系においても,抑制性神経伝達物質として有力視されている神経活性アミノ酸の一つである。したがって,シナプス伝達を営む神経伝達物質の備えるべき条件(同定基準),すなわち,①この物質を放出するニューロン内に生合成系の存在が確認され,しかもこの物質が神経終末部(前シナプス部)に高い局在を示すこと,②刺激の適用により活動するシナプスからの放出がみられること,③後シナプス膜にこの物質に対応するレセプター(受容体)が存在しその特異的拮抗剤が見町されること,④この物質がシナプス伝達を媒介する場合のシナプス膜の電位変化とその背景をなすイオン透過性の変化機構が明らかであること,⑤この物質がシナプス伝達完了後に受ける不活性化機構が明らかにされること,などの諸条件を満たすかどうかの研究が,主な課題となることはよくご承知のことであろう。GABAレセプター以外の問題については他書に譲り,ここではGABAレセプターに関する最近の研究の動向について述べることとするが,この研究分野は上記の諸点の中でも,もっとも未解決の問題が多いものということができる。とくに,生化学的観点からのGABAレセプターに関する確実な知見は,ほとんどないといっても過言ではない。
In the past decade, extensive efforts have been made to identify and to isolate the GABA receptor from a variety of neuronal tissues. Despite recent success in the study of the cholinergic receptor from electric organs, little progress has been made on the isolation and characterization of GABA receptors from mammalian tissues. This lack of biochemical informations concerning GABA receptors arises largely from a lack of promising starting material as well as of proper ligands to identify the receptor, and a need for sensitive assays to measure ligand binding.
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