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特集 リチウムの臨床と基礎—最近の話題
リチウムの中枢作用機序―レセプター
Lithium: Effects on Central Serotonergic Receptors
瀬川 富朗
1
Tomio Segawa
1
1広島大学医学部総合薬学科薬効解析科学教室
1Dept. of Pharmacology, Institute of Pharmaceutical Science, Hiroshima Univ. School of Medicine
pp.223-228
発行日 1982年2月15日
Published Date 1982/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203384
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Ⅰ.緒言
リチウム塩は躁病に有効な治療薬として繁用されてきたが,躁うつ病のうつ期にも有効であることが指摘され,この方面でも重要な薬物として用いられている。しかしながら,その作用機序については種々の薬理学的研究報告があるにもかかわらず,決定的と考えられる報告はまだこれをみない。とくに,躁病に対する有効性に関する研究は極めて多いが,うつ病に対する有効性についての基礎的な研究はほとんどないといっても過言ではない。
躁うつ病患者の脳脊髄液や脳内でカテコールアミンやセロトニンの代謝異常がみられ,リチウムの投与によってこれらアミン類の代謝が影響をうけるところから,リチウムの作用機序を中枢神経系アミン代謝に対する効果に求める報告が多い。しかし,この場合ももっぱら躁病に対する治療効果と結びつけたものである。
筆者は,リチウムのうつ病に対する有効性を薬理学的に解釈しようと試みているが,その一方法として,臨床上用いられている三環性抗うつ薬の作用機序との共通点を探ろうと試みた。とくに,最近提唱されているうつ状態の発生原因としての中枢セロトニンレセプターの感受性亢進説について説明し,これを動物実験レベルで支持するわれわれの研究結果を報告し,この結果によく一致するリチウムの薬理学的効果を紹介し,その作用機序としての可能性について考察しようと試みた。
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