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実験講座
筋肉における高エネルギーりん化合物利用の31Pn.m.r.による高時間分解能測定
Contraction or living muscles studied by high time-resolution 31Pn. m. r.
山田 和廣
1
,
田之倉 優
1
,
米谷 快男児
1
Kazuhiro Yamada
1
,
Masaru Tanokura
1
,
Kaoru Kometani
1
1大分医科大学医学部生理学教室
pp.326-329
発行日 1982年8月15日
Published Date 1982/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903553
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31P核磁気共鳴(31Pn.m.r.)により天然に存在する31Pのスペクトルを調べ,生きている筋肉やその他の組織を破壊することなくそのまま用いて,細胞内のりん化合物の量およびその変化を知る方法が報告されて数年がたった1,2)。この方法は,筋肉においてはさらに生理学的な手法の導入が行なわれ,収縮機構を調べるための生理学的方法の1つとして発展した3)。また,この方法は骨格筋の他に多くの組織に用いられつつある4)。
一方,筋肉の収縮に利用される高エネルギーりん化合物の変化は,筋の急速凍結,抽出および化学分析を行なって,かなりよい時間的分解能をもって測定することができる。ところが,このような研究の結果を,筋収縮の熱産生と仕事量の和として測定されるエネルギー遊離量と比べると,エネルギー量を説明するだけ十分な量のりん化合物が分解されていない5)。このことは,筋の示す熱的変化には,たとえばCaイオンのいろいろなサイトへの結合反応熱のような,エネルギー利用とは直接に関係のない部分が含まれていることを示しているのだと思われる。しかし,上にのべたように,収縮によるエネルギー産生と高エネルギーりん化合物の分解量との間にギャップが存在するかどうかを確かめるためには,このような化学的方法とは別に独立した方法で,しかも非破壊的に,りん化合物の量の変化を調べることができるのは,たいへん重要な方法上の進歩であると思われる。
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