Japanese
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特集 細胞核
総説
ヌクレオソーム構造と動態
Nucleosome: structure and variability
倉科 喜一
1
Yoshikazu Kurashina
1
1金沢大学薬学部製薬化学科
pp.21-28
発行日 1982年2月15日
Published Date 1982/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903515
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真核細胞のクロマチンを形成している物質はDNA,塩基性蛋白質であるヒストン,ヒストン以外の非ヒストン性蛋白質と呼ばれる多種類の蛋白質,少量のRNAである。クロマチン構造は主にヒストンの結合によって決定されるから,その結合様式,結合していることの生理的意義などが1960年代を通じて研究されてきた。1970年代に入り,単離細胞核を低張処理して膨潤させて得たクロマチンの電子顕微鏡像1,2),ヌクレアーゼによる限定分解で得られるDNAの長さが約200塩基対の整数倍であるという観察3,4),ヒストン同士の会合性の性質,X線回折像5),ヒストン分子種の量比に関する考察6)などから,クロマチンはヌクレオソームと呼ばれる基本単位が繰り返している構造をとっていることが明らかにされた。全ての細胞のクロマチンがヌクレオソーム構造をとっていること.ヌクレオソーム構造などについてはいくつかの詳細な総説7〜9)が書かれているのでここでは.要点のみを記し,ヌクレオソーム形成部位とDNA塩基配列との関係(phasing),ヌクレオソーム構造の可変性について述べたい。
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