今月の主題 感染症—治療の実際
抗生物質の基礎知識
薬物動態
中野 重行
1
Shigeyuki NAKANO
1
1愛媛大学医学部・薬理学
pp.1484-1488
発行日 1980年10月10日
Published Date 1980/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216697
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効果と薬物動態(pharmacokinetics)
細菌感染症に対する抗生物質の効果は,一体なにによって規定されているのであろうか? 抗生物質の効果は,第1に細菌感染症起炎菌の抗生物質に対する感受性,第2に起炎菌の存在部位における薬物濃度によって規定されている.ここでは,第2の薬物濃度の問題に焦点を絞って説明をする.
抗生物質が殺菌作用または静菌作用を発揮するには,あるレベル以上の薬物濃度が必要である.もちろんこの薬物濃度は細菌の種類によって異なる.この抗菌作用発現に必要な最低薬物濃度は,in vitroの実験により求めることができ,殺菌作用を発揮する最小有効濃度はMBC(minimal microbicidal concentration),静菌作用を発揮する最小有効濃度はMIC(minimal inhibitory concentration)とよばれている.これらの値はin vivoにおける抗生物質の効果をあげるために,投与量と投与法を決定するための有益な手がかりになる.
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