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特集 筋小胞体研究の進歩
総説
筋小胞体Caとりこみ過程のカロリメトリー
Calorimetric study of the mechanism of ATP driven Ca uptake by sarcoplasmic reticulum
小川 靖男
1
Yasuo Ogawa
1
1順天堂大学医学部薬理学教室
pp.495-502
発行日 1981年12月15日
Published Date 1981/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903505
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筋小胞体は筋原線維をとりかこむ膜性細胞内小器官であり,筋の興奮収縮連関の中心に位置するものである1,2)。即ち筋鞘に活動電位が生じると筋小胞体からCaが遊離されて筋収縮が起こり,再分極すると筋小胞体にCaがとりこまれ,筋が弛緩する。換言すれば筋小胞体の機能はCaとりこみ及びCa遊離の2つにつきる。一方この筋小胞体はマイクロソーム分画として生化学的手法により骨格筋から比較的容易に大量に得られ3),しかもその構成蛋白質の2/3がCaとりこみの際の主体となるCa-ATPase蛋白で占められていることなどから,エネルギー転換系のモデルの1つとして,また生体膜機能研究のモデルとして多方面から研究され,いくつかの優れた総説が発表されている4〜8)。またCa遊離の機序についても近年多くの研究者の関心を惹くようになった9)。本稿では最近当研究室で行われたCaとりこみ過程の熱量計による熱測定について述べ,エネルギー転換機構の大枠について考察を加えたい。本題に入る準備として,筋小胞体膜の構成成分,その機能について述べる。なお骨格筋(白筋)の筋小胞体に内容を限ることをおことわりする。
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