Japanese
English
実験講座
卵細胞における内部灌流実験法
Internal perfusion technique for egg cell membranes
吉井 光信
1
Mitsunobu Yoshii
1
1日本医科大学第2生理学教室
pp.250-255
発行日 1980年6月15日
Published Date 1980/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903396
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
1961年にTasakiとHodgkinの両グループによってそれぞれ独自に開発されたイカ巨大神経軸索における内部灌流法(internal perfusion technique)1,2)は,膜冠位固定法との組み合わせにより,神経細胞膜の電気的興奮現象に対して多くの優れた洞察を与えてきた3〜5)。内部灌流の目的は,細胞内のイオン環境をコントロールすることにより,細胞膜をより単純なシステムとして物理化学的解析に都合よくすることにある。しかし,細胞内容物をとりのぞかなければならないために,イカやその他の一部の巨大神経軸索6)にしかこの手法は適用されていなかった。
ところが5年ほど前より,小さい神経細胞体の内部灌流をめざす努力がなされている。これらの細胞では,巨大軸索のように細胞内容物を簡単にとりのぞくことはできないので,細胞膜の一部を破り,そこより内部灌流液を浸透させるという方法をとっている。よって,正しくは"細胞内透析法(intracellular dialysis technique)"と呼ばれるべきであるが,目標はあくまでも細胞内を灌流することにあるので,単に"細胞内灌流法"と呼ばれている。最初の細胞内透析は,Kostyukらによりカタツムリの神経節細胞で試みられた7,8)。
Copyright © 1980, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.