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特集 神経科学実験マニュアル
電気生理学実験手技
細胞内灌流法
Internal Perfusion technique
赤池 紀扶
1
Norio Akaike
1
1九州大学医学部第一生理学教室
pp.419-421
発行日 1985年8月15日
Published Date 1985/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904786
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■ 概要
小型細胞の膜を横切る膜電位依存性のNa+,K+,Ca2+やCl-電流(電気的興奮膜)や化学受容器を介する各種のイオン電流(化学的興奮膜)の一つを他イオン電流より分離し,それぞれのイオン電流のkineticsやこれへの薬物の作用機序を解明するには膜電位固定下に細胞内外のイオン環境を人工的に制御して実験を行うことが必要である。この目的のために開発されたのが吸引電極法1-3)で以下の長所を有する。①ニューロン,酵素処理にて単離した心筋4,5),平滑筋ならびに各種培養細胞など,直径5μm以上の細胞に適用できる。②同一電極で各種細胞の細胞内を人工液で灌流すると同時に電流,電圧固定実験ができる。③吸引電極本体に使用するガラス電極抵抗は100〜200KΩで,普通の微小ガラス電極抵抗の1/50〜1/200と低い。このため細胞内へ大電流が通電できるし,その低抵抗のため信号雑音比が大きく各種イオン電流ノイズまたは"ゆらぎ"の測定6)に適している。④細胞内へ各種化学物質や代謝活性または抑制物質を直接灌流,投与したり,細胞内pHや浸透圧などを自由にしかも連続的に変えることができる7)。⑤吸着して標本を維持するため外界からのアーチファクト(たとえば振動)より細胞膜を損傷することなく長時間の測定が可能である。⑥通電と記録を同一電極で行うにもかかわらず,時間分割法による膜電位固定回路を使用することにより膜電位を正確に測定できる8)。
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