コミニケーション
生化学からみた小胞体膜のタンパク質
M. F.
pp.238
発行日 1977年6月15日
Published Date 1977/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903193
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細胞分画法でミクロソームとよばれたものの主体が小胞体であるが,後者の特徴的な酵素には,電子伝達体としてチトクロームP-450といわれるもの,またそれを還元する酵素がある。もう一つの小胞体チトクロームにb5があり,それを還元する酵素もある。加水分解酵素には,グルコース6-リン酸ホスファターゼ,アデノシントリホスファターゼ,ヌクレオシドジホスファターゼ,エステラーゼ,アリルスルファターゼがあり,転移酵素にはグルクロノシルトランスフェラーゼが知られている。
このように,小胞体膜の多彩な酵素活性は比較的よく調べられており,それらの酵素の一部については代謝回転の速さも調べられている。しかし,小胞体膜自体の分子解剖はほとんど進んでいない。という意味は,赤血球膜のタンパク質についてはみかけの分子量がどれくらいのものがどれくらいの割合で存在するかについて多くの研究があるのに,小胞体膜についてはそれがほとんどない。いままで代謝回転が調べられた小胞体膜タンパク質でも,多くの場合,b5のような酵素,しかもその活性フラグメントであった。小胞体膜の主なタンパク質にどのようなものがあるかは興味のある問題である。
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