Japanese
English
特集 小胞体
総説
粗面小胞体の生化学
Biochemical aspects of rough-surfaced endoplasmic reticulum
高木 正道
1
Masamichi Takagi
1
1東京大学農学部農芸化学科
pp.335-349
発行日 1977年10月15日
Published Date 1977/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903205
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はじめに
粗面小胞体(rough-surfaced endoplasmic reticulum=RER)は滑面小胞体(smooth-surfaced endoplasmic reticulum=SER)にタンパク質合成の場であるリボゾーム,ポリゾームが結合したものである。特殊な細胞を除きほとんどすべての真核細胞にみられる構造であり,また逆に前核細胞にはみられないものである。生化学的研究のために欠くことのできない手段としての細胞破壊の際に,ERは切断され,遠心法による分画でミクロゾーム画分(microsomal fraction)に集められる。このミクロゾーム画分は超遠心することによりはじめて沈殿する画分であり,SERとRERの切片を含むが(遊離のリボゾームやポリゾームもまたくるが),このうちRERの切片のみを対象とする場合にはrough microsomal fractionという言葉を用いることもある。すなわち細胞内でのSERとRERがそれぞれ切断され,smooth microsomeとrough microsomeとして得られることになる。本稿では,これら切断された後の構造をも含めてSERとRERという言葉を用いたい。
"RERの生化学"として取り扱う範囲を決めることは難しい。個々の研究者,著者によって当然異なるであろう。これは,SERとRERの膜自体の差異が十分に分っていないことによる。
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