コミニケーション
既成概念にとらわれない研究体制を/特定の人達・分野に限られない「生体の科学」に
臼倉 治郎
1
,
上里 忠良
2
1東京大・解剖
2東京医歯大・生化学・大学院
pp.131
発行日 1977年4月15日
Published Date 1977/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903178
- 有料閲覧
- 文献概要
新設された「コミニケーション」という欄を通して,どのような意見が交され,また,どのような話題が生まれるのか,読者の一人として,興味を感じていました。もちろん,もとより,傍観者を決めこんでいましたが,突然,締切直前に「何かありませんか」という決第で,読者としての義理を感じ,筆を取ることにしました。多くの読者の要望で,出来上りながら,原稿の集りが悪いというのは,考えればおかしくもあります。しかし,それはこの欄が漠然とした内容を秘めているので,何を書こうかと,多くの読者が躊躇しているためでしょう。したがって,私も漠然とした希望を寄せたいと思います。
最近の生命科学の発達は目覚しいもので,多くの学際的領域が開拓されました。逆にそのような領域に手を染めないかぎり,研究対象の真実の姿は現われないのかもしれません。たとえば,興奮性膜を例にとると,この膜は形態学的にはunit membraneとして構造しかもちませんが,生理学的には興奮伝導やそれに伴うgating機構,channel機構などactiveやpassiveな機構のより集まった場と見ることができるかもしれません。また,物理化学的には液体に近い状態の半透膜,あるいは陽イオン交換膜としても考えられるかもしれません。また,物理化学的には液体に近い状態の半透膜,あるいは陽イオン交換膜としても考えられるかもしれません。
Copyright © 1977, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.