Japanese
English
特集 障害者・高齢者と性の問題
障害をもつ人達の“性”に関する課題
The Themes on Sex and Sexuality of the Persons with Disability.
谷口 明広
1
Akihiro Taniguchi
1
1障害者自立生活問題研究所
1Independent Living Research Institute
キーワード:
セックスとセクシュアリティ
,
性の権利
,
性教育
,
優生保護法
,
自立生活運動
Keyword:
セックスとセクシュアリティ
,
性の権利
,
性教育
,
優生保護法
,
自立生活運動
pp.841-845
発行日 1995年10月10日
Published Date 1995/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107954
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“性”をもつ者として捉える
歴史的に表現されてきた日本人の「性」は,“卑わいな性”,“隠された性”という暗いイメージが強調されてきた.このような状況下において,障害をもつ人達を男性でもなく女性でもない「無性の生物」として扱ってきたし,障害をもつ人達自身も自らの「性」を口にすることさえできなかったのである.
日本人は漢字の「性」を“さが”と読み,生まれながらにして持ち合わせている悲しい事実というイメージを創りあげてきたと考えられる.障害をもつ人達が有する「障害」も,中途障害者という存在があるにもかかわらず,生まれながらにして持っている重荷という暗いイメージで表現されることが多い.これらの共通点から推測できることであるが,一般市民が障害をもつ人達の“性”について語るという時は,悲しい出来事の中にある最も暗い事柄であると無意識に判断してきたのではないだろうか.そして,「障害」という重荷を背負って生きている人達に対して,“性”に関する知識や経験を強要することが残酷と考えられてきた思考回路は理解できるのである.
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