Japanese
English
主題 平滑筋の抑制物質・2
消化管における抑制神経支配と化学物質
Inhibitory innervation and actions of inhibitory chemical substances on the alimentary canal
伊東 祐之
1
,
栗山 煕
1
Yushi Ito
1
,
Hiroshi Kuriyama
1
1九州大学歯学部生理学教室
1Department of Physiology, Faculty of Dentistry, Kyushu University
pp.58-79
発行日 1971年4月15日
Published Date 1971/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902886
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Ⅰ.はじめに
平滑筋運動の抑制とは筋収縮の弛緩を意味する。平滑筋組織においては収縮(攣縮,不完全強縮および完全強縮を含む)の抑制とトーヌス(tonus;緊張性収縮)の減少との二つの弛緩現象がある。平滑筋における収縮(の抑制)は骨格筋のそれとほぼ同様な機序によるものと考えられるが,トヌースの発生機序はまだ明らかでなく,収縮蛋白の特異性(tonoactomyosinの含有),筋原性(ゆるやかな脱分極性電位変動;slow wave,basic electric rhythmや頻度の低い自発放電による)やまた神経原性(神経叢からの興奮性化学物質の持続的放出や低い頻度の神経の興奮による化学物質の放出)の興奮などがトーヌス発生の要因としてあげられている。しかし現在平滑筋でのいわゆる収縮とトーヌスを明確に分離して論述するにはまだ十分な結果は得られていない。また収縮の抑制の要因としては骨格筋と同様に,ⅰ)平滑筋細胞膜電位の過分極による活動電位発生の抑制,ⅱ)活動電位発生の直接的な抑制,ⅲ)収縮-興奮連関機構の抑制,ⅳ)収縮蛋白の収縮過程における抑制および,ⅴ)興奮神経またはその受容器の抑制および抑制神経の興奮などを列挙することができよう。しかし,これらの各段階における抑制機序について論述するにもまだ十分な結果は得られていない。
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