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Ⅰ.いとぐち
自律神経末梢の興奮が平滑筋の収縮または弛緩をもたらすことは17世紀からすでに観察されている。しかし,ようやく近年になって先人の努力の結果,自律神経—筋興奮伝達機構が明らかになって来つつある。それでも体性神経—横紋筋興奮伝達機構と同一レベルで比較検討するには至っていない。それには自律神経末梢の研究者が少なかったせいもあるがそれよりも奏効器としての平滑筋の細胞下レベルの研究が困難であることに起因していると考えられる。その問題点を列挙してみよう。1)まず,細胞の直径が小さく(2〜10μ),細胞膜性質が充分に知られていないし,単一細胞が独立した機能単位ではなくtight junctionによってまたはその他の方法で電気的に連絡した数多くの細胞群が一つの機能的単位(functional unit;functional bundle)を形成していることで平滑筋膜の電気的な分布が充分に理解されていなかったこともある。2)平滑筋細胞膜電位が各臓器により著しく異なっており,そのイオン濃度勾配がほぼ同様であることから膜電位発生に関与するイオン透過性および能動輸送によるイオン流および濃度勾配の変化が大きな要因をしめていることから薬物の効果が平滑筋組織によって著しく異なり,骨格筋よりも現象の解釈が複雑であること。
It is thought that the smooth muscle tissues in the visceral organ possess the properties to generate the electrical and mechanical activities autogenically and the nervous activities, including activities of the extrinsic and intrinsic autonomic nervous systems, modify the muscle activity.
It is also elucidated in the alimentary canal that the longitudinal muscle layer shows the different electrical and mechanical properties compared with those in the circular muscle layer.
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