解説講座 対談
逆説睡眠について(2)
時実 利彦
1
,
島津 浩
1
1東京大学医学部脳研究所
pp.240-244
発行日 1968年10月15日
Published Date 1968/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902785
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睡眠の体液説
島津 先ほど,睡眠の体液説というお話が出て,その例としてコリン作動性物質などを直接脳に入れて睡眠を起こすことができるということですが,もしこういう物質が,シナプスの伝達物質,あるいはそれに関連する物質であれば,それは脳の電気的な刺激と同じことになつてしまうわけで,これを体液説の根拠にできるかどうかは問題だと思います。ただそこにインパルスがいけば遊離される物質をたまたまそこへ入れたというだけになりますから。もう少し体液説に関連の深いような実験的な研究があるのでしようか。
前に先生のところで低級脂肪酸を注射すると,はじめオーソ睡眠,つづいてパラ睡眠が起こつてくることをみておられましたね。こういう物質はもし注射したときのような高濃度では体内に普通にはないとすれば,麻酔薬というべきなのかどうか議論がでてくると思います。また麻酔薬と正常睡眠との関係ということになりますと,非常に複雑な問題があると思いますが,その辺についての先生のお考えを……。
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