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逆説睡眠の生化学という課題,すなわち逆説睡眠という生理現象の発現機構を生化学の面から考えるということは,その機構解析には重要であり,とくに関与する物質を明らかにすることによってその病態に対する対策も可能になるからである。逆説睡眠という一つの生理機能を生化学的に解析するにはいわゆる機能的生化学,あるいは須田(1981)の"まるごとの生化学"の発展が望まれる。現在では機能的生化学の前のほうから,すなわち機能を主としたほうから生理学者が研究を進めており,後のほうからすなわち生化学を主としたほうから生化学者が研究を進めており,隧道貫通工事に似たこの作業はいずれどこかの地点で合一するだろうが,そのさいに改めて両方の学者たちが手を取り合ってこの課題に取り組んださいに初めて解明されるだろう。
筆者は生理学者としてこの課題の前のほうから着手したわけであり,逆説睡眠をまず現象面から考え,刺激としての生化学的物質を与えるさいには,その作用機序のあらかじめ明らかにされている物質を使用することにした(結果についての考察が容易だから)。いっぽう,融,和田らの生化学者は逆説睡眠の現象をある一点で停止せしめて,そのさいの生理活性物質を生化学的手法によって定量することによつて,その消長から生化学的機構を追求しているといえるだろう。
Abstract
A review of biochemistry of paradoxical sleep was presented and discussed.
Monoamine theory of sleep mechanism, impli-cating serotonin in the control of slow wave sleep and noradrenaline in the control of paradoxical sleep, was firstly presented by a report which had shown that reserpine suppressed paradoxical sleep in cats and DOPA eliminated the suppres-sion. The idea of the study was based upon the topographic biochemical data by McGeer et al. (1963).
But, most of researchers claimed that reserpine increased paradoxical sleep (REM sleep) and decreased slow wave sleep (NREM sleep) in human.
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