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逆説睡眠とポリグラフィー(2)
神保 真也
1
1東大精神神経科
pp.896
発行日 1970年9月15日
Published Date 1970/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906904
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図はひとりのナルコレプシー患者の夜間睡眠のポリグラフをまとめたものである.横軸は終夜記録の時間を示す.この患者は悪夢にうなされねごとを言うので,これを最上段に点で示してある.睡眠深度図は黒い部分が逆説睡眠で,白い部分がAからDまでの睡眠深度(オーソ睡眠)である(前回の図参照).ねごとは逆説睡眠時にだけ出現している.
脈拍や呼吸数は1分間値をプロットしてあるが,逆説睡眠で変動が大きい.この患者はねごとを言うので特に変動が大きくなっている.体動のうち大きいのは主として手足の動きやねがえりであるが,覚醒時や入眠時に多いのは当然である.逆説睡眠時には大きい体動は少なく,小さい体動すなわち主として首や顔面の動き,手足のれん縮などが多い.なお就寝時から逆説睡眠にはいるのはナルコレプシーの特徴的な症状であり,このとき入眠幻覚がある.これは昼間の脳波検査でもよく見られるので,ナルコレプシー患者にはあらかじめ眼球運動記録用電極をつけて,横臥位にしたらすぐ記録を開始することをおすすめする.
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