特集 生体膜その2
Spontaneous potassium responese
大山 浩
1
Hiroshi Ooyama
1
1金沢大学医学部第二生理学教室
1Department of Physiology, Faculty of Medicine, Kanazawa University
pp.215-223
発行日 1964年10月15日
Published Date 1964/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902587
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はじめに
1 イオン説とKコンダクタンス
NaコンダクタンスgNaの増加が活動電位発生にとつて重要なことはよく認識されている。しかしながら多くの組織の活動電位の再分極過程において,同様に重要な役割を果しているKコンダクタンスgKの増大はともすれば軽視されがちなことは興奮の"イオン説"というよりは"Na説"の呼称が圧倒的に使われている事実にみられる。これは膜電位固定法による実験でNa電流が受動的な回路ではまつたく予想できない脱分極による内向電流という極めて印象的な観察に基いているのにK電流が脱分極により単純な受動回路に予想される外向の方向であることが一つの理由であろう。しかしながらK透過性についてはNa透過性の解析と同じ程度あるいはすくなくともまつたく同じ段階をふんだ分析が行なわれなかつたことも一つの原因と考えられる8,4,5)。Coleが"Kコンダクタンスについて,Naコンダクタンスと同様な(脱分極によつて増大する)性質があるというHodkin,Huxleyの記述について私が実際に信用したのは,Moore,Frankenbaeuser,Hagiwara et alらによる直接の証明が出てからあとのことであつた2)"と認めているのは,彼がイオン説の成立にかかわる先駆者としての多くの貢献をし,またもつとも熱烈なイオン説讃美者の1人であるだけに興味がある。
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