Japanese
English
綜説
摂食の中枢機構
Central mechanism of feeding
大村 裕
1
,
国吉 真
2
Yutaka Oomura
1
,
Makoto Kuniyoshi
2
1金沢大学医学部生理学教室
2鹿児島大学医学部生理学教室
1Department of Physiology, Faculty of Medicine Kanazawa University
2Department of Physiology, Faculty of Medicme Kagoshima University
pp.168-190
発行日 1964年8月15日
Published Date 1964/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902582
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いとぐち
生体はその生命を維持するために外部からエネルギー源となるものを摂取しなければならない。動物はそれを摂食という一種の情動反応によつて行なつている。したがつて摂食の調節は他のあらゆる生物学的平衡関係の根本をなすものである。摂食反応をおこす原動力となる飢餓感の発現に関しては古くからいろいろ説明されてきたが,大約して次の三通りにわけられる。(ⅰ)まず飢餓感の発現が末梢性に起因するという古い説で,空腹時に胃が収縮し胃粘膜中の飢餓神経を刺激するという考えである。(ⅱ)他方中枢性起因,すなわち血中の飢餓状態に感受性を有する飢餓中枢の存在を信じた昔の学者もある。(ⅲ)また飢餓感の発現が循環血の状態および全身各器管からくる求心性刺激による総合的なものとする考えもある。以上の3説については次に詳述するが,近年多くの研究結果から(ⅱ)と(ⅲ)を総合した説が有力となつてきた。すなわち食物摂取は,中枢神経とくに視床下部によつて調節された視床下部は血糖濃度や血中代謝産物,および身体の特定器管(胃など)から送られる求心性のインパルスによつて反応することが明らかとなつたのである。
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