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特集 加齢の克服―21世紀の課題
第2部 総説
Ⅲ.高齢化社会
後半生における食餌制限の抗老化作用
Intervention of aging in rodents by dietary restriction in later life
後藤 佐多良
1
,
高橋 良哉
1
,
荒木 幸子
1
,
中本 英子
1
Sataro Goto
1
,
Ryoya Takahashi
1
,
Sachiko Araki
1
,
Hideko Nakamoto
1
1東邦大学薬学部生化学教室
pp.502-508
発行日 2002年10月15日
Published Date 2002/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902442
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多くの人の長寿が達成されつつある世界の先進国では,人々の願望は単なる長生きから健康長寿へと変化してきた。J. Anti-Aging Medicineの発刊や抗老化を謳った学会やシンポジウムの開催は,その現れであろう。実験的には,本稿で取り上げるカロリー制限(食餌制限)のほか,抗酸化物質の摂取,適度な運動,変温動物の場合は,低体温や冬眠の寿命延長作用が研究されている。カロリー制限には,多くの動物種(ネズミ,サカナ,ハエ,クモ,線虫,ミジンコなど)において寿命延長効果がある1)。その仕組みは,十分には明らかでないが,いずれの場合も,老化の進行にかかわるとされる酸化ストレスの軽減が有力視されている2)。
なお,最近は,出芽酵母の“寿命”も培地のグルコース濃度を下げると延長することが明らかにされて,カロリー制限の寿命延長効果の普遍性が注目されている。しかし,この単細胞生物と上記の動物の寿命は,同一に定義しがたいことから3),“寿命”延長の仕組みは異なると予想される4)。
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