特集 病気の分子細胞生物学
1.筋・神経・精神疾患
躁うつ病
吉川 武男
1
,
西川 徹
2
Takeo Yoshikawa
1
,
Toru Nishikawa
2
1理化学研究所脳科学総合研究センター分子精神科学研究チーム
2国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第三部
pp.398-400
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901741
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[疾患概略]
現代につながる精神疾患分類の基礎は,20世紀初頭にドイツのKraepelinによって築かれたが,彼によると躁うつ病は躁とうつがエピソード的に出現し,病相間欠期には完全に回復し,慢性進行性に経過する早発性痴呆(現在の精神分裂病)と比較し予後がよいものとした。うつ病相では,憂うつで悲しく,寂しい落ち込んだ気分である抑うつ気分,思考活動が緩慢で決断と実行が困難になったり億劫で疲れやすくなる精神運動抑制,頭重感や胸の圧迫感などの身体症状が出現する。躁状態では,持続的な高揚気分や易怒的な気分の変化があり,多動・多弁・注意散漫などがあり社会活動や人間関係に障害をきたす。
現在よく用いられるアメリカ精神医学会の診断と統計のマニュアルであるDSM-Ⅳでは,躁うつ病は気分障害の中の双極性障害に分類される。因みにうつ病相だけの単極性のものは,うつ病性障害に入る。
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